experimental-deco: 6月 2009

【iDea crewS!】Vol.3 ‐時を刻めど繋がらないもの‐ 『Georg Jensen』

------------------


私が心惹かれた一品や影響を受けたデザイン、
読者の方に見て頂きたいポップなプロダクトデザインから
独創的なアクセまで、あらゆる意匠を
【iDea crewS!】(イデアクルーズ)カテゴリーにて
綴って行きたいと思います。


これは以前から私が書きたいと思っていたテーマですが
なかなか時間がありませんでした。


雑記カテゴリー内の上記テーマに該当する
過去の記事も移動しました。


少々の資料集めと無駄に多い推敲、
そして「真摯な姿勢をもって」書いた文章です。


自ずと長文が多いと思われます。
長文が苦手な方は覚悟して下さいね。


投稿スピードは得てして遅いのが常ですが頑張ります。


------------------




確か20歳位たったか?


その時も、私はヒルトン大阪1階のショップスペースで
時間を潰していた。


当時の彼女との待ち合わせはいつもヒルトンのロビー。
雰囲気といい利便性といい打って付けの場所。


そんな時、何故か足が止まってしまうショーウインドウがあった。
陳列されている商品の殆どを銀色で埋め尽くすその店内。


この光り方はシルバー?


ギラギラしていない。
ゴツゴツしていない。


かと言ってこじんまりしている訳でもない。


それまで持っていたシルバーに対する
装飾品入門というイメージ。


そんなお手軽なイメージは感じられない。
(勿論クロムハーツ等は重厚で高価だが)


他のジュエリーショップとも異質な空気だ。
『Georg Jensen』と書いてある。
手前にはブローチやリングが見える。


草花や鳥のモチーフのブローチ等は、さながら、
「手のひらに収まるアールヌーヴォー」といった風情。


物語を感じさせる。


次に目を引いたのが
バングル、時計、食器類に見られるそのミニマムなデザイン。


その形はモダンアートそのもので
「フォルムだけで魅せる」


シルバーとはこんなにも気品があるのかと、
瞬く間に銀色の世界へ引き込まれる。
これ、ブランクーシの彫刻作品みたいだ。


それから程なくして、私は晴れて
デンマーク王室御用達宝飾店の「顧客」となる。


モダンアートでシンプルな、タイバー(ネクタイ留め)と
日本の家紋に似た、画鋲程の大きさのタイタック
(ネクタイピン)を購入した。


購入した2点共、さほど高価ではなかった。
そしてそれ以後、足を運べど購入には至らなかった。


たったこれだけで「顧客」?そんな気分はない。


いくらシルバー製で他ブランドと比べて安価と言えども
当時の私の財布はすぐに底を付く。


実際、顧客、上得意とは程遠い。


そんな上得意とは言えない若造にさえ
40歳代半ば思しき店長は


いつも存分に「顧客気分」を味あわせてくれたのだ。
あの細やかで気品ある接客は忘れ難い体験だ。
間口の広さと格の高さ、それが一見客を顧客にする。


後々に知ったのは、ジョージ・ジェンセンは
ティファニー等と同様に
複数のデザイナーで商品展開していた事。


思い起こせば若い店員さんがそういう話をしていたような?
当時の私は足を運んだり、
購入する時の高揚感に浸りっぱなしだった。


あらゆるショップと言わず個人作家と言わず
あちらこちらでデザインソースにされたと思われるものを目にする。


あの頃もインスピレーションを刺激するには十分な品々が
確かにそこにあった。


ジョージ・ジェンセンで特に印象深かったのが
バングル(ヴィヴィアンナ)ウォッチ(※下記補足)。

vivianna02.jpg


当時の私にとって繋がっていない時計なんて見たこともなかった。


「足りないからこそ完全なんだ」と言いたげに笑っている
デザイナーのヴィヴィアンナ・トールン・ビューロ・ヒューベを
想起する。


この時計のバンドは時を刻めどその隙間を埋めることはない。


※バングルウォッチはステンレス製


公式サイト
『Georg Jensen』

Georg Jensen専門オンラインショップ
『Sarah et Louis』

希少なアイテムや生産中止のアイテムも扱っています。