experimental-deco: 10月 2009

【iDea crewS!】Vol.5 ‐見えざるものを味方に付ける‐ 『Franco Scaglione』

皆さんは飛行機に乗りますか?
私は一度だけ乗ったことがあります。


あんなに大きな金属のカタマリが空を飛ぶなんて
未だに信じられません。


でも飛ぶんですね。


次に、この車のデザインをどう思いますか?

bat5-01.jpg


これは「Alfa Romeo(アルファロメオ)」社の車なんですが

「Bertone(ベルトーネ)」という会社の
「Franco Scaglione(フランコ・スカリオーネ)」
という人がデザインしました。


見た目は映画に出てきそうな宇宙船のようです。


今見ても十分未来的で、当時の人の目には、
ことさら奇怪に映ったことでしょう。


実はこの車、50年以上前に発表されたのです。
いわゆるコンセプトカー、ショーモデルです。


コンセプトカーというものは
多少フォルムが冒険的なのでしょうが


三次元曲面を多用したこの造形は
半世紀以上前の車とは思えないインパクトです。


しかし、この奇抜なデザインの真の目的は
人目を引くためではないらしいのです。


その意図は車名にはっきりと現れています。


Berlinetta ベルリネッタ 

Aerodimnamica エアロダイナミカ

Tecnica テクニカ

Berlinetta Aerodimnamica Tecnica」


というイタリア語で、

その頭文字をとって「B.A.T.」と名付けられており
主に「空力実験車」と和訳されています。


空気力学(以下、空力)
というものを検証するためのスタディモデル、


それがこの「B.A.T.」という訳です。
スカリオーネデザインの「B.A.T.」は3車種あります。


B.A.T.5 1953年

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B.A.T.7 1954年

bat7-01.jpg
bat7-02.jpg


B.A.T.9 1955年

bat9-01.jpg


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このスタディモデルは
後の量産車の設計に見事受け継がれました。


車で言う空力とは


◎走行時の空気抵抗を少なくする
◎車体を地面に押し付ける


主にこの二つが目的です。


逆に飛行機でいう空力とは


◎機体を上に押し上げる


となります。


ジャンボジェットでも紙ヒコウキでも基本原理は同じですね。


「B.A.T.」のデザインは
空気抵抗を減らす目的のみで
デザインされているように思われます。


車体を下に押し付けるための本格的な研究は
さらに後の話です。


現在の車体デザインは
空力と無縁ではいられません。


運動性能や燃費に大きく影響します。
それはF1マシンでもプリウスでも同じです。


見えない力は大きいですね。


私は機能貫徹が大前提にありながら
目を楽しませてくれる工業デザインに出会うたびに
如何にデザインの力が大きいかを実感します。


そしてとても刺激を受けます。


フランコ・スカリオーネはこの他に
傑作と称されるデザインを残しています。


興味がありましたらご覧下さい。
http://bit.ly/FrancoScaglione


今回は車のデザインのお話でしたが如何でしたか?


またお会いしましょう。





「Carrozzeria Bertone」

Official website:http://www.bertone.it/User/